義父の看病に濡れる夜
義由香は高熱に浮かされ、全身がだるく、動くことすらままならない状態だった。頭は鉛のように重く、汗が肌をねっとりと覆い、呼吸すら浅く乱れていた。夫は長期の出張で不在。そんな彼女を看病してくれるのは義父・隆二だけだった。
「由香、大丈夫か? 食べられそうか?」
耳に届いたのは、隆二の落ち着いた低い声。意識は朦朧としているのに、その声だけは鮮明に響き、胸をざわつかせる。湯気を立てるお粥の匂いと共に、隆二の存在感が強く迫ってきた。わずかに目を開いた由香は、かすれた声で答えた。
「……少しだけ……」
力なく返す彼女の唇へ、隆二はスプーンをそっと差し出す。温かなお粥が口に流れ込み、喉を通ると、冷えた身体にじんわりと熱が広がった。だが、それ以上に彼の指が頬にかすかに触れた瞬間、由香の体は不意に震えた。
「ゆっくりでいい、無理をするな」
その声は看病の言葉であるはずなのに、甘く囁くようで、熱に浮かされた頭では区別がつかなくなる。由香はわずかに微笑もうとしたが、胸の奥がざわめき、呼吸が乱れた。隆二の指先が自分の唇に残した感触を思い返すだけで、鼓動が熱く高鳴っていく。
食事を終えると、由香は再び布団へ身を沈めた。額に置かれた濡れタオルを取り替える隆二の手が髪に触れ、汗ばんだ首筋を撫でるように滑る。その仕草に抗う力はなく、むしろ微かな期待が芽生えてしまう自分に気づき、羞恥と熱が入り混じった。
「……もう少し、傍にいてください……」
思わず洩れた由香の言葉に、隆二の瞳が驚きと別の色を帯びて揺れた。その視線が絡んだ瞬間、彼女は全身を包む熱が病のせいなのか、別の熱なのか、もう判別がつかなくなっていた。